書籍紹介
ウイリアム J オニールは、ベストセラー「オニールの成長株発掘法」が非常に有名でありますが、この著書は、2000年の米国株式市場のITバブルが崩壊した後に、ITバブルでの個人投資家の大幅な損失を被った悲惨な状況を踏まえて、再度彼の市場の見方、銘柄選択、株の売買のタイミングなどの投資手法を整理した書物となっています。
「成長株発掘法」では、彼の投資理論CANSLIMについての説明が前面に出ていたのに対して、この本では、ITバブルで多くの株式投資家が株式下落前に所有株を売却できなかったり、下落途中で株式を買い増し、更なる下落に見舞われたりして資産を失った苦い経験した人を多くいることを踏まえて、「市場全体の方向性を見きわめる方法」を冒頭のステップ(章)で説明しています。
その後のステップでは、「利益と損失を3対1に想定する方法」「最高の銘柄を最適なタイミングで買う方法」「利益を確定する最適なタイミングで売る方法」「ポートフォリオ管理ー損を抑えて利益を伸ばす方法」となっており、「成長株発掘法」では銘柄の選定についての説明に重点が置かれていましたが、この本では市場の動きを踏まえての株式の売買のタイミングやポートフォリオ管理方法などの説明に重点が置かれており、CANSLIMという銘柄選択方法以外のオニールの投資法の全貌についてより学ぶことができます。
読んでみての感想
ベストセラーの「オニールの成長株発掘法(第4版)」が621ページに対して、本書は240ページと比較的コンパクトに纏められてます。「成長株発掘法」の初版発行が1980年代、最新改訂版発行も1990年代と、投資書の古典として、現在においても古めかしい部分はないのですが、本書はITバブルを踏まえた2000年代の発行でより身近に感じられることや、オニールの投資の考え方も「成長株発掘法」よりは整理された印象があり、オニールの投資法を学びたいのであれば、「成功株発掘法」より本書を先に読むことをお勧めしたいぐらいです。
ステップ1で相場の見方、ステップ2以降で株式の売買タイミングやポートフォリオ形成について記載されており、株式投資初級者には理解しておくべき内容がすべて織り込まれております。加えて、ステップ3「最高の銘柄を最適なタイミングで買う方法」や付録Aでは、オニールの株式投資法の核となるCANSLIMの説明もしっかりと入っております。
これを読み切ることがオニールの投資手法の全貌を学ぶことができます。時系列的には「成長株発掘法」の後に本書発行ですが、オニールの投資手法をより深く理解したいのなら、この本の後に「成長株発掘法」を読むことをお勧めします。
Audibleの英文ナレーション
インパクトには少し欠けますが、非常にソフトなナレーションです。通勤ラッシュ時では、英文ナレーションが車内・駅構内アナウンスに負けてしまうケースもありますが、少しボリュームを大きめにして聞けば、英文ナレーションが自然に耳に入ってきます。
英語学習で要約読解する場合のポイント
総ページ数がさほど多くないため、「はじめに」からステップ1~5を経て、CANSLIMについて説明がなされている付録A・Bまで全て学習対象にしても、挫折しない文章量だと思います。
というのも、ステップ1~5では株式チャート図で30ページ以上の割かれており、それを差し引くと英語学習には適した非常にコンパクトな内容かと思います。株式投資初心者や日本株の次は米国株の投資を検討している人で、英語力の維持やブラッシュアップを図りたい人には内容・ボリュームとも最適な学習教材になると思います。まずは邦書を理解した上で、洋書、Audibleに挑戦してみてください。
相場師養成講座(邦訳書) 相場師養成講座(洋書)